ホンダが発表した新型軽商用EV「N-VAN e:」が、三菱の「ミニキャブEV」と商用車市場で熾烈な争いを繰り広げそうだ。両モデルの価格やスペック、実用性などを徹底比較し、勝者はどちらか見極めていく。
軽商用EVの覇権を賭けた一騎打ち
- ホンダ「N-VAN e:」と三菱「ミニキャブEV」が軽商用EV市場で直接対決
- 両社ともカーボンニュートラル実現に向けEV化を加速
- 価格、航続距離、荷室スペックなど細部にわたり徹底比較
ホンダは2050年までの全社カーボンニュートラル達成に向け、日本向け商品を2030年までに電動化、2040年にはEV100%化する方針を掲げている。その第一弾として発表された「N-VAN e:」は、2024年10月に発売される予定だ。一方の三菱「ミニキャブEV」は2011年にデビューした先駆者で、配達業務などで活躍する姿が目にされてきた。
両社の軽商用EVが本格的に戦線を張ることになり、価格や航続距離、荷室スペックなど細部にわたる徹底比較が注目される。軽商用車市場での覇権を懸けた一騎打ちとなりそうだ。
N-VAN e:の魅力は大容量バッテリーと広大な荷室
- 29.6kWhの大容量バッテリーで一充電走行距離245km
- ガソリン車ベースのボディを活かした広大な荷室を確保
- フロントモーターで前輪駆動方式を採用
N-VAN e:の最大の魅力は、軽自動車最大級の29.6kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、一充電走行距離が245km(WLTCモード)と高い航続性能を実現した点だ。ガソリン車ベースのボディを活かして広大な荷室スペースを確保しながら、大容量バッテリーを床下に搭載できた。
さらにフロントにモーターを配置し前輪駆動方式を採用。ピラーレスの大開口デザインも健在で、商用車としての使い勝手の良さを追求している。フロントグリルには充電口が設けられるなど、EVならではの新しい顔つきも備えている。
ミニキャブEVは軽商用EVの先駆者
- 2011年にミニキャブミーブとしてデビュー
- 最新モデルでバッテリー容量を20kWhに拡大
- リヤモーターで後輪駆動方式を採用
三菱のミニキャブEVは、2011年にミニキャブミーブとしてデビューした軽商用EVの先駆者だ。当初は16kWhのバッテリーを搭載していたが、最新モデルでは20kWhのリチウムイオンバッテリーを採用するなど、常に進化を続けている。
ミニキャブEVはリヤアクスルにモーターを配置し、後輪駆動方式を採用している点がN-VAN e:と異なる。ガソリン車ベースのボディを活かしつつ、パワートレインのレイアウトはEV専用設計となっている。
価格面でミニキャブEVが有利?
- N-VAN e:の価格は未定だが300万円前後が予想される
- ミニキャブEVは238万円から299万円の範囲
- 補助金適用後の実質価格でミニキャブEVが安価に
価格面ではミニキャブEVが有利かもしれない。N-VAN e:の価格は未定だが、300万円前後になると予想されている。一方のミニキャブEVは238万円から299万円の範囲で設定されている。
両モデルとも国の補助金が適用されるため、実質的な価格はさらに下がる。補助金適用後の価格でみれば、ミニキャブEVの方が安価になる可能性が高い。初期投資の面でミニキャブEVに軍配が上がりそうだ。
航続距離ではN-VAN e:が圧倒的有利
- N-VAN e:の一充電走行距離は245km
- ミニキャブEVは180kmが限界
- 配送業務などで長距離走行が求められる用途ではN-VAN e:が勝る
一方で航続距離ではN-VAN e:が圧倒的に有利だ。ミニキャブEVの一充電走行距離は180kmが限界だが、N-VAN e:は245kmと大きく上回る。配送業務などで長距離走行が求められる用途では、N-VAN e:の方が勝る。
大容量バッテリーを搭載できたN-VAN e:の設計は、航続距離面で大きな差をつけられた。長距離運転が多い業務用途では、この差は無視できない大きな要素となるだろう。
実用性の高さでは双璧
- 両モデルともガソリン車ベースで荷室スペースは確保
- 開口部の大きさや荷台の広さなど細部で僅かな違いあり
- 用途に合わせて選択が可能
実用性の高さという点では、両モデルとも双璧といえるだろう。ガソリン車ベースのボディを活かして、十分な荷室スペースを確保している。開口部の大きさや荷台の広さなどの細部では僅かな違いがあるものの、商用車としての基本性能は申し分ない。
用途に合わせて選択できる点は、両モデルの大きな魅力だ。配送業務で長距離運転が多ければN-VAN e:、近距離運転が中心ならミニキャブEVと使い分けが可能だ。価格と航続距離のバランスで選ぶこともできる。
まとめ
ホンダと三菱の軽商用EVが本格的に戦線を張ることになり、価格や航続距離、実用性など様々な側面で熱い争いが予想される。価格ではミニキャブEVが有利だが、航続距離ではN-VAN e:が圧倒的に長い。一方で実用性の高さでは双璧で、用途に合わせて使い分けられるのが魅力だ。軽商用EV市場は一層活性化し、ユーザーにとっても選択肢が広がりそうだ。