米国のEV市場に陰りが見え始めている。需要の拡大を見込んで参入した新興メーカーが次々と倒産に追い込まれ、主力のテスラも販売不振に陥っている。一方で、ハイブリッド車が根強い人気を集めており、EVの普及に陰りが見られる。本記事では、米国EVの現状と今後の展望について詳しく解説する。
新興EVメーカーの相次ぐ経営破綻
米新興EVメーカー「フィスカー」が経営破綻に陥った。同社は著名デザイナーによって設立され、高いデザイン性から「第2のテスラ」と期待されていたが、品質面の不具合や生産の遅れから経営が行き詰まった。負債総額は最大800億円に上る見込みだ。
- フィスカーの他にも、ローズタウン・モーターズやプロテラなどの新興EVメーカーが経営破綻している。
- 新規参入が相次いだが、想定した需要拡大には至らず、多くの企業が倒産に追い込まれている。
テスラも販売不振に陥る
米国EVの約半分のシェアを占めるテスラも販売不振に陥っている。2024年1-3月期の販売台数は4年ぶりに前年割れとなり、有力専業メーカーのルーシッドやリビアンも赤字から抜け出せていない。
- テスラをはじめ、主要EVメーカーの業績が低迷している。
- EVの販売台数は月10万台を下回る水準が続いており、新車需要の低迷が見て取れる。
ハイブリッド車の人気が根強い
一方で、充電の心配がなく比較的手頃なハイブリッド車が根強い人気を集めている。富裕層以外にEVの普及が広がっていない状況が続いており、ハイブリッド車に消費者が流れている。
- EVよりも手頃で使い勝手の良いハイブリッド車が支持されている。
- EVは富裕層以外への普及が進んでおらず、ハイブリッド車に顧客が流れる傾向にある。
EVの販売環境は改善する可能性も
米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに転じれば、自動車ローンの金利負担が軽くなるなど、EVの販売環境が好転する可能性もある。ただし、米中対立によって中国からの部品調達が滞れば、EV価格が高止まりする恐れもあり、先行きは不透明だ。
- 金利の低下によってEVの購入負担が軽減される可能性がある。
- 一方で、米中対立による部品調達の問題でEV価格が高止まりするリスクもある。
まとめ
米国のEV市場は減速懸念が高まっている。新興メーカーの倒産が相次ぎ、主力のテスラも販売不振に陥っている。一方で、ハイブリッド車の人気が根強く、EVの普及が進んでいない。金利次第では販売環境が改善する可能性もあるが、米中対立による部品調達の問題もあり、先行きは不透明な状況が続きそうだ。